2006年9月13日, 水曜日
『リピーター』
アメリカから娘のエイジアと二人の天使達が帰って来た。帰国の主な目的は日本でコンサートをする事と新しいワーシップのレコーディングに参加する事だが2歳8ヶ月になった孫のレインには別の目的がある。東京ディズニーランドに連れて行ってあげる約束をしていたのだ。「ミッキーさんに会うんだ!」と言ってはしゃいでいるレインを見ると、僕や妻よりもミッキーさんか、と少し嫉妬したくなる。ミッキーがご飯を食べさせてくれる訳でも、運賃を払ってくれる訳でもないのに…。これからは毎回ディズニーランドで釣らないと来てくれないかも知れない。この子達をリピーターにさせるためには苦労が多いのだ。リピーターと言えばディズニーランドのリピート率は実に 97・5%の高率なのだそうだ。なぜリピーターが多いのか。様々な企業がリピーターを獲得しようとしてディズニーから学ぼうとしている。しかしどれもがディズニーの足下にも及ばない。それはマニュアルではなく「ハピネスを提供する」というディズニーの理念だからだ。
全てにこの理念が貫かれている。100-1=0 と言う数字がある。ゲストを迎える100人のキャストの中でたった一人でもゲストに不愉快な思いをさせたら0だと言う事だ。店の店員もポップコーン売りも清掃員にもキャストと言う名前が付けられている。そのくらいに「ハピネスを提供する」という理念が徹底されている。ただマニュアルの通りにやっているのではない。マニュアルを超えているのだ。だからディズニーランドを訪れたゲストは誰でもVIPになれるのだと思う。これが、TDL(東京ディズニーランドの略)が日本人にとって宗教的な存在になりつつあると言われる所以ではないだろうか。
ディズニーランドはディズニーの世界を提供している。それが訪れる人を夢中にさせる特別な環境なのだ。TDLには桜の木が一本もないと言うエピソードがある。それは来る人たちに時の移り変わりを感じさせない工夫なのだそうだ。常に緑の葉をつける常緑樹だけが植えられている。だから特別な時間となる。お茶の世界ではあのわずか四畳半の空間に利休は神の国を表現したと言われる。そこには身分と言う違いはない、ただ亭主と客と言う構造がある。亭主は掛け軸に、花に、道具にメッセージを込め、客との特別な時間を過ごす。何百年も前に利休は「ハピネスを提供する」を日本的に形にした。本当は教会がこれをやらならなくてはいけないんだと思う。
さあて、僕たちが行く日はどんな1日になるだろう。多分僕はクタクタになっているかも知れない。そんな僕もリピーターの一人なのだ。