2004年1月22日, 木曜日
『世界で一番えらいのは』
昨年末から我が家に娘が孫を連れて里帰りしている。この世に生を受けてまだたった二ヶ月しか経っていないのに、もう飛行機に乗っての外国旅行だ。妻は出産に立ち会ったので二ヶ月ぶりの再会なのだが、私は初対面なのだ。期待に胸を膨らませて空港まで迎えに行った。やがて大きな荷物とともにベビーカーに乗って彼女が登場した。これが私の孫だ。長旅の疲れもあるだろうに愛嬌を振りまいている。えらい。さすがだ。しかし、何と小さくてかわいい事か。恐る恐る抱き上げて見ると、ああ何と軽い事か。何処が自分に似ているのか、よく見てもわからないが私のDNAがこの子に受け継がれているのは確かだ。この子を迎えるために私は丸一日部屋の掃除をした。今までの人生で掃除がこんなに楽しいと思った事はなかった。それにも増して驚いたのは娘がお母さんをやっていることだ。
エイジア・レイン・コサカ・トレスと言うのがこの子の正式な名前だが、私たちはレインと呼んでいる。我が家にレインが来てまだ二週間しか経っていないのに、家の雰囲気がぜんぜん変わってしまった。その存在の影響力はたいしたものだ。レインを見るみんなの顔が実に優しい。声まで優しくなっている。泣いても、笑っても、寝ていても、乳を飲んでいても、ゲップをしても、おしめを取り替えていても、お風呂に入っても、おならをしても、とにかく何をしてもみんな目を細めて微笑んでいるのだ。元旦の礼拝で私がメッセージをしていると、誰かが突然ブリブリブリっと大きなおならをした。今までメッセージ中にこんな大きなおならをした人がいただろうか。あるいはお腹の調子が悪くて我慢できずにプリッとやった人はいたかもしれない。事実、私はメッセージ中にかすかに匂いを感じた事があった。だけどこんなに堂々とやった人はいない。しかも誰も怒らない。かえってニコニコしている。なんと言っても世界で一番えらいのは子どもだろう。アメリカの大統領でもこうはいかない。そんな子どもを虐待して殺してしまう親がいる。どうしてそんな事ができるのだろうか。猿でもそんな事はしない。人が猿以下になってしまったという事なのだろうか。戦争で一番の犠牲者は子どもだ。もしもホワイトハウスや国会に子供を預かるナーサリーがあって、大統領や首相がいつでも子供の笑顔を見ることが出来るとしたら、それでも戦争の決断が出来るだろうか。子供をないがしろにする国に、いったい平和が訪れる日が来るのだろうか。「あなたがたすべての中で一番小さい者が一番偉いのです。」(聖書ルカ9:48)